「緑茶をよく飲む人は死亡リスクが低い」——そんな話を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。実際に、日本国内で行われた大規模な追跡調査によって、緑茶をよく飲む習慣と死亡リスクの低さとの間に統計的な関連があることが繰り返し報告されています。
本記事では、宮城県大崎市で行われた「大崎コホート研究」と、国立がん研究センターが主導する「多目的コホート研究(JPHC研究)」という、国内を代表する2つの疫学研究を取り上げ、緑茶と死亡リスクの関連について何がわかっているのかを整理します。あわせて、研究が示す相関関係の限界や、日々の生活への取り入れ方についても触れていきます。
4万人を11年間追跡した「大崎コホート研究」
宮城県大崎市の40〜79歳の住民を対象に1994年から始まった「大崎コホート研究」は、緑茶と死亡リスクの関連を扱った研究として国際的にも広く引用されています。脳卒中・心疾患・がんの既往がない40,530人を対象に、緑茶の摂取量を「1杯未満」「1〜2杯」「3〜4杯」「5杯以上」の4群に分け、全死亡については最長11年、死因別の死亡については最長7年にわたって追跡しました。
その結果、女性においては緑茶を1日5杯以上飲むグループは、1杯未満のグループと比べて心血管疾患による死亡のハザード比が0.69となり、約3割低いという関連が確認されました。男性でも同様の傾向は見られたものの、統計的な関連の強さは女性でより明確に表れています。
全国9万人を追った「多目的コホート研究(JPHC研究)」
もう一つの代表的な研究が、国立がん研究センターが1990年代から続けている多目的コホート研究です。40〜69歳の男女約9万人を対象に、1990年・1993年の調査開始から2011年まで追跡し、期間中に12,874人の死亡が確認されました。
緑茶の摂取量別に見た全死亡のハザード比(1日1杯未満を基準)は、1日3〜4杯で男性0.88・女性0.87、5杯以上で男性0.87・女性0.83という結果でした。死因別では、心疾患死亡のハザード比が男性(3〜4杯)で0.74、女性(5杯以上)で0.63と特に大きく低下しており、男性においては脳血管疾患・呼吸器疾患による死亡でも同様の関連が見られています。一方で、がんによる死亡については、緑茶摂取量との統計的に有意な関連は確認されませんでした。
2つの研究に共通しているのは、緑茶をよく飲む群ほど、心血管系や呼吸器系の疾患による死亡リスクが低い傾向にあるという点です。ただし、いずれもがん死亡との明確な関連は示されておらず、「緑茶を飲めばあらゆる病気のリスクが下がる」といった単純な話ではない点には注意が必要です。
なぜ緑茶が関連するのか——研究が注目する成分と限界
緑茶とこうした関連が研究される背景には、緑茶に含まれるカテキン類、なかでもエピガロカテキンガレート(EGCG)の抗酸化作用に対する研究者の関心があります。EGCGをはじめとするカテキン類は、血管の酸化ストレスや血圧への関与が国内外の研究で調べられており、緑茶が心血管疾患による死亡の低下と関連する一因ではないかと考えられています。
一方で、これらは特定の集団を対象にした観察研究(コホート研究)であり、「緑茶を飲んだから死亡リスクが下がった」という因果関係を直接証明するものではありません。緑茶をよく飲む人は、食生活や運動習慣など他の生活要因においても健康的な傾向がある可能性があり、研究では年齢・喫煙・飲酒・BMI等の要因を統計的に調整したうえでなお関連が残ったことが報告されていますが、観察研究である以上、完全に交絡要因を排除できるわけではありません。研究者自身もこの点を論文中で明記しています。
お茶を楽しむという、シンプルな習慣
本記事で紹介した研究は、緑茶(茶葉から抽出した飲用茶)を対象とした統計データです。当社が提供するMATCHA∞・HOJICHA∞(抹茶パウダー・ほうじ茶エキスパウダーに甘味料等を加えたラテ飲料)を評価したものではありません。そのうえで、緑茶に限らず、お茶を楽しむ習慣そのものは、多くの方にとって身近なものではないでしょうか。
- 気分転換に、コーヒーとは違う一杯を選んでみる
- 会議の合間に、湯気の立つお茶で小さな休憩を挟む
こうした小さな選択肢のひとつとして、お茶のある時間を楽しんでいただければと思います。
※HOJICHA∞は茶葉を焙煎したほうじ茶エキスパウダーを使用しており、焙煎により茶葉のカテキン量は変化します。本記事で紹介したEGCG・カテキン類に関する説明は、主に非焙煎の緑茶を対象とした知見であり、HOJICHA∞にそのまま当てはまるものではありません。
